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四十八願は、法蔵菩薩が世自在王仏より重々無尽に交錯した二百一十億の諸仏世界を見せられ、それらの国土や住民の善悪を総合的・達意的に理解し、自らがこの上なくすぐれた国土を建設する願いを起し、五劫を具足し思惟して(五悪趣を超えたところに清浄の行を選びとり)建てた本願です。そのため一つひとつの願いが尊いということだけではなく、全体としてもこの上なく勝れ、有機的なつながりを持った構造をしていなければ、真実の世界(浄土)を建設する方法を見つけ出したとは言えないでしょう。四十八願の並びは単なる羅列ではないのです。
ただし、結果として願いが満足されたということですから、『仏説無量寿経』領解の要めは、四十八願全体の構造を分析的に明らかにするだけでは充分ではなく、あくまで信心として受領させていただくことにあるといえるでしょう。つまり、「まさにこれが人生成就の指針である」ということを自分の身と歴史的現実をもって明らかにすることが肝要なのです。
四十八願組織体系図 | |||||||||
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(国土と衆生の関係) | |||||||||
個人発見 | 自己不失 | 不更悪趣 二 | |||||||
個人理念 | 外相 | 人格平等 | 人格光輝 | 身悉金色 三 | |||||
個性特色 | 存在自覚 | 形無好醜 四 | |||||||
内徳 | 史的自覚 | 遠識宿命 | 得宿命智 五 | ||||||
客観知見 | 見諸仏国 | 得天眼智 六 | |||||||
客観受行 | 聞諸仏説 | 得天耳智 七 | |||||||
自他同感 | 知衆生心 | 見他心智 八 | |||||||
自他超越 | 超諸仏国 | 得神足智 九 | |||||||
行心不染 | 不貪計身 | ||||||||
絶対自証 | 不二信証 | 正定滅度 一一 | |||||||
対自的…弥陀形成 | 智徳無量 | 照諸仏国 | 光明無量 一二 | ||||||
歴史創造 | 主体自証 | 寿命無量 一三 | |||||||
即且対自的…国土形成 (弥陀と衆生の関係) | 衆生成就 | 聞 | 至心発生 | 徳化無辺 | 声聞無量 一四 | ||||
信 | 信楽発生 | 生命創造 | 眷属長寿 一五 | ||||||
証 | 欲生発生 | 人間成就 | 世無悪評 一六 | ||||||
弥陀成就 | 名号成就 | 世界創造 | 諸仏称名 一七 | ||||||
弥陀形成 | 国土成就 (衆生と国土の関係) | 衆生覚醒 | 存在的自覚 | 願心自証 | 至心信楽 一八 | ||||
形成的自覚 | 人格形成 | 智徳修証 | 発心修徳 一九 | ||||||
世界形成 | 行為廻向 | 係念植徳 二〇 | |||||||
生活理念 | 人格成就 | 外相 | 相好成就 | 身具諸相 二一 | |||||
内徳 | 総 | 修習普賢 | 一生補処 二二 | ||||||
別 | 一般的形成 | 行心普遍 | 供養諸仏 二三 | ||||||
行為創現 | 供具如意 二四 | ||||||||
人格全現 | 説一切智 二五 | ||||||||
生活自信 | 得金剛身 二六 | ||||||||
万物徳化 | 所須厳浄 二七 | ||||||||
特殊形成 | 天職自覚 | 見道場樹 二八 | |||||||
道理証得 | 得弁才智 二九 | ||||||||
応説無碍 | 智弁無窮 三〇 | ||||||||
世界成就 | 普遍性 | 他国映現 | 国土清浄 三一 | ||||||
真実性 | 他国感化 | 万物宝香 三二 | |||||||
名号成就…念仏生活 (衆生と弥陀の関係) | 総 | 所与随順 | 感情純粋 | 触光柔軟 三三 | |||||
人生体験 | 行智修証 | 聞名得忍 三四 | |||||||
別 | 生活態度 | 私生活 | 女性自覚 | 厭悪女身 三五 | |||||
性欲聖化 | 常修梵行 三六 | ||||||||
世人尊敬 | 人天致敬 三七 | ||||||||
生活満足 | 衣服随念 三八 | ||||||||
享楽純浄 | 受楽無染 三九 | ||||||||
社会生活 | 他国理解 | 見諸仏土 四〇 | |||||||
感情円満 | 諸根具足 四一 | ||||||||
虚心求教 | 住定供仏 四二 | ||||||||
人格高潔 | 生尊貴家 四三 | ||||||||
天職満足 | 具足徳本 四四 | ||||||||
生活精神 | 人格尊重 | 常見諸仏 四五 | |||||||
生活聞法 | 随意聞法 四六 | ||||||||
人格不退 | 聞名不退 四七 | ||||||||
各道不退 | 諸法不退 四八 | ||||||||
{四十八願総括} |
以上、島田幸昭著『仏教開眼四十八願』巻末より「四十八願組織体系図」を転載しました。実はこの図は「未稿」の但し書きがあり、先師の中ではさらに深い真意を顕そうとの思いがあったことが伺えます。しかし私の見る限り、この体系図は他のどの説より厳密でありながら明瞭。仏意を明らかにしていると思われるのでここに掲載することを決めました。勿論「未稿」と記された真意を探れば、四十八願は味わい尽くせぬ味を持ち、聞法は無限の思惟を促し、さらなる創造的な領解も可能ということでしょうが、それは百年千年の知己を求める対話の中で実現することでしょう。
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