わたしの領解

涙/悪人だからこそ

【浄土真宗の教え】

 涙

久々に とあるご老人にお会いしたら
さめざめ さめざめ 泣いてみえた
私に何か言いたげだけど
声にはならず ただ涙
家族はそれ見て笑っていたが
涙の訳は聞かれずじまい
年寄りの癖とすえ置かれ
みっともないと なじられる

涙の中に 何があったの
涙の底に 何があったの

涙の中には叫びがあった
生きてきた全ての思いがあった
やり残した全てがあった
言い残してきた全てがあった
生命の輝きと悲哀がないまぜになって
せきを切ってあふれ出た涙なの

今なら私もそれがわかる
わかるから
いっしょに涙を流しましょう

 悪人だからこそ

私は悪人だからこそ
様々な悪道から離れ 善なる道に親しもう
私は覚りを開いてないからこそ
様々な悪思想や甘言から離れ
諸仏の教えに親しもう

それでも それでも
私は悪から離れない
悪思想や甘言に迷わされる

そんな底下の悪人ゆえに
諸仏は私を救えない
唯一 阿弥陀の大願のみが
私の胸で鳴り響く

娑婆の苦背負ったこの歩み
流転の果ての最後の歩み
如来とともに歩みましょう
法とともに歩みましょう
衆生とともに歩みましょう

[←back] [next→]
[釋信水]

[index]    [top]

 当ホームページはリンクフリーであり、他サイトや論文等で引用・利用されることは一向に差し支えありませんが、当方からの転載であることは明記して下さい。
浄土の風だより(浄土真宗寺院 広報サイト)