わたしの領解

根/宝/蔵

【浄土真宗の教え】

 根

浄土では あらゆるものに深い根が生えている
この根から尽きぬ浄水をくみ上げ
それぞれの寿命をあらたにしているのだ

智慧もあらた 徳もあらた
教えもあらた 行もあらた
信もあらた 証もあらた
日々あらたなる寿命を得て 浄土は麗しく荘厳されている

ああそれなのに私は 浄土の根に気づかず
一度得た教えにしがみつき 干からびた心を嘆いている
自力の頑張りは いつか滅ぶことを知らないでいたのだ
恥づべし 傷むべし

浄土を念ずれば 自力の底が破られる

浄土の根を尊んで 清浄なる浄水をいただこう
煩悩の汚れをおそれず 清浄なる浄水をいただこう

南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏

 宝

なぜ私は今まで気づかなかったのだろう
浄土はかくも素晴らしい宝の世界であることを
語られる一言一言が宝であり
しぐさの一つ一つが宝である

人々のまなざしの この上ない優しさ
互いを信じあう まごころの尊さ
他に何を求める必要があったのだろう

ああ それなのに私は
浄土の素晴らしさに気づかず
言葉の宝を捨て しぐさの宝を捨て
人々のまなざしの優しさを無視し
不信の中で長年もがいてきた
浄土の他にも幸せがあると思い込んでいたのだ
恥づべし 傷むべし

浄土の宝 これ一つが本当の宝
後はいつわり ニセモノの宝

 蔵

私たちの細胞一つひとつには 宇宙の全てがこもっている
生命の歴史全てが この細胞の一つひとつにこもっている

過去の悩みも苦しみも
先祖の覚りも喜びも
この細胞一つひとつに 全てがこもっているのだ

私はこの膨大な蓄積が宝の持ち腐れにならぬよう
蔵を開いてこれを用いようと願う
世に宝を示し その徳を褒め称えたいのだ

ああされど私は智慧浅きゆえ
宝のあまりの尊さに ただただ頭が下がるだけ
その万分の一も覚ることができず
世に顕現させることなど思いもよらぬ

南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏

この膨大な宝のただ一つでも良い
蔵から出でて わが身に添て下さい
たとえその徳に 相応しくない私でも
私は生涯その徳を褒め称えて生きてゆきます

もし「あいつは不徳な奴だ」と
皆からけなされようともかまいません
私は人々の手本にはなれなくとも
皆の見本となることはできるでしょう

蔵が開くよ 南無阿弥陀
宝が出でるよ 南無阿弥陀仏

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