還浄された御門徒様の学び跡 |
弥陀の誓願不思議にたすけられまいらせて往生をばとぐるなりと信じて念仏もうさんとおもいたつこころのおこるときすなはち摂取不捨の利益にあずけしめたまうなり。
「正信偈」正しくは「正信念仏偈」、私たち浄土真宗の門徒にとってこの偈頌ほど身近な《お経さん》はない。「お経さん」とは無量寿経等の仏教経典のことであって、その意味では正信偈はお経ではない。弥陀・釈迦二尊をはじめとして、浄土真宗七高僧の徳を讃嘆し、心からの信順をあらわしている偈頌(うた)である。
毎年、一月九日から十六日まで西本願寺では報恩講が執行される。親鸞聖人のお徳をしのび、報恩感謝のまことをあらわすもっとも大切な法要である。いつも期間中はあの広々とした御影堂が全国から参詣した門徒で満堂になり、外まで溢れるほどである。その中で全員でこの正信偈が読誦される。その感動はその場に坐して見なければ判らないものである。まこと聖人のご恩に心から「報恩謝徳」する正信偈の読誦であり、念仏である。
「如来大悲の恩徳は 身を粉にしても報ずべし 師主知識の恩徳も ほねをくだきても謝すべし」のご和讃そのものである。
教行信証 行巻の末尾に、この六十行百二十句の正信念仏偈が示されている。
宗祖親鸞聖人がこの偈頌をつくられたのは、
しかれば大聖の真言に帰し、大祖のげしゃく解釈に閲して、仏恩の深遠なるを信知して、正信念仏偈をつくりていわく
と、《偈前の文》にその主旨を明らかにされている。「お釈迦様のまことの教えにしたがい、また浄土の祖師がたの書かれたものを拝読して、仏の恩の深いことを信じ喜んで」この偈をつくられたのである。
このおこころを心して聴聞していきたい。
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