還浄された御門徒様の学び跡 |
教行信証 信文類三(末) 逆謗摂取釈【123】に――
<滔州[ししゅう](中国法相宗第二祖慧沼のこと)によれば五逆罪に二種類ある。
《第一》三乗のすべての教えに通ずる五逆罪
一.故思殺父: 故意に父を殺すこと・・・「ことさらに思うて父を殺す」
二.故思殺母: 故意に母を殺すこと
三.故思殺羅漢: 故意に阿羅漢を殺すこと
四.倒見破和合僧: 間違った考えを起こして(倒見して)教団を乱すこと
五.悪心出佛身血: 悪い心を抱いて佛身を傷つけて血を流すこと
これらは父母や仏や僧などから受けた恩にそむくから逆罪という。・・・「恩田に背き福田に違するをもってのゆえに此れをなづけて逆となす」
この逆罪を犯したものは命終すれば無間地獄に堕ち、果てしない長い間、間断なく苦しみを受ける故、無間業という>
天親菩薩は「倶舎論」に無間地獄に墮ちる五逆罪と同類の行いをあげている。
すなはちその偈の文に
一. 母や無学果の比丘尼を汚すことは母を殺すと同罪
(無学果とは阿羅漢果と同じで煩悩を断じ尽くし、もはや学ぶべきものを遺していない境地のこと)
二.無漏定に住する菩薩を殺すことは父を殺す罪と同罪
三.有学果・無学果の聖者を殺すことは阿羅漢を殺す罪と同罪
四.教団の和の縁となるものを奪うことは教団の和を乱す罪と同罪
五.仏塔を壊すことは仏のからだを傷つけて血を流すことと同罪
といっている。
《第二》大乗の五逆罪(大薩遮尼乾子所説経にいう)
一. 仏塔を壊し、経典を焼き、三宝を盗むこと
二.声聞・縁覚・菩薩の教えを謗って仏教でないといい、仏教の流布を妨げ、危難を加え、仏法の光を覆い隠し広まらないようにする
三.持戒・無戒・破戒にかかわらず、すべての出家した人に対して、ののしり打って苦しめ、過失を並べ立てて閉じ込め、還俗させて、かりたてて使い、重税を課してついには命を絶つまで追い込むこと
四.父を殺し、母を害し、仏のからだを傷つけて血を流し、教団の和を乱し、阿羅漢を殺すこと
五.因果の道理を否定して、常に十悪の罪を犯すこと
と説かれている。
《大方広十輪経》にはこのように説かれている。
一.善くない心を起こして縁覚をころすこと。これは殺生である。
二.阿羅漢のさとりを得た比丘尼を犯すこと。これは邪婬である.
三.施された三宝の財物を横領すること.これは偸盗である。
四.間違った考えを起こして教団の和を乱すこと。これは妄語である。
(註:殺生・邪婬[じゃいん]・偸盗[ちゅうとう]・妄語[もうご]は四悪とされ、のち飲酒を加え五悪とした。
[←back] | [next→] |