還浄された御門徒様の学び跡


聞法ノート 第一集 5

仏法に遇うは難く

【浄土真宗の教え】

 仏法に遇うは難く

 大無量寿経には、王舎城の耆闍崛山(ぎしゃくっせん)において、すぐれた比丘や菩薩に対して、釈尊が禅定に入られ、諸仏がこの世にお出ましになるのは、ひとえに苦悩多き衆生に阿弥陀仏の本願を説いて救わんがためであると説き明かされている。
 お釈迦さまは

如来はこの上ない慈悲の心で迷いの世界をお哀れみになる。世にお出ましになるわけは、仏の教えを説き述べて人々を救い、まことの利益を恵みたいとお考えになるからである。このような仏のお出ましに会うことは、はかり知れない長い時を経てもなかなか難しいのであって、ちょうど優曇華の咲くことがきわめてまれであるようなものである。

『仏説無量寿経』 巻上 序分 発起序 出世本懐 より

と前置きされて、阿難尊者に――今より去ることはるかなむかし、世自在王如来が世にお出ましのころ、法蔵菩薩が出家修行をされ、二百十億の仏国土をつぶさに見られ、そのうえで浄土をうるわしくととのえるための清らかな行をえらびとられた安楽浄土のおいわれを説かれた。
 その発願は四十八願述べられ、その中でも第十八願は、王本願とも、ご本願ともよばれ、もっとも大切な願文とされている。

設我得仏 十方衆生 至心信楽 欲生我国 乃至十念 若不生者 不取正覚 唯除五逆 誹謗正法

現代語訳:
 わたしが仏になるとき、すべての人々が心から信じて、わたしの国に生れたいと願い、わずか十回でも念仏して、もし生れることができないようなら、わたしは決してさとりを開きません。ただし、五逆の罪を犯したり、仏の教えを謗るものだけは除かれます。

『仏説無量寿経』 巻上 正宗分 法蔵発願 四十八願(18) より


 阿難が釈尊にお尋ねした。
 「法蔵菩薩は、仏となって、すでに世を去られたのでしょうか。あるいはまだ仏となっておられないのでしょうか。それとも仏となって、今現においでになるのでしょうか」
 釈尊が阿難に仰せになる。
 「法蔵菩薩はすでに無量寿仏という仏となって、現に西方においでになる。その仏の国はここから十万億の国々を過ぎたとことにあって、名を安楽という」

『仏説無量寿経』 巻上 正宗分 弥陀果徳 十劫成道 より

また仏説阿弥陀経には、釈尊が舎利弗尊者にこう説かれている。

ここから西の方へ十万億もの仏がたの国々を過ぎたところに、極楽と名づけられる世界がある。 そこには阿弥陀仏と申しあげる仏がおられて、今現に教えを説いておいでになる。

『仏説阿弥陀経』 正宗分 依正段 より

 親鸞聖人は、教行信証(顕浄土真実教行証文類)のはじめに、

それ真実の教を顕さば、すなはち『大無量寿経』これなり。この経の大意は、弥陀、誓を超発して、広く法蔵を開きて、凡小を哀れんで選んで功徳の宝を施することを致す。釈迦、世に出興して、道教を光闡して、群萌を拯ひ恵むに真実の利をもつてせんと欲すなり。ここをもつて如来の本願を説きて経の宗致とす、すなはち仏の名号をもつて経の体とするなり。

『顕浄土真実教行証文類』 教文類一 大経大意 より

とお示しになりました。  すでに、十劫のはるかなむかし、法蔵菩薩は誓願を成就されて、その誓の全てを完成し、清らかな安楽浄土を建立されて、今、無量寿仏として、阿弥陀如来として、
「十方衆生 至心信楽 欲生我国 若不生者 不取正覚」
のちかいのとおり、弥陀の本願を信じ、阿弥陀仏を念ずるものは皆、かならず、ひとしく救うために、私たちに働きかけていてくださるのである。
 勿論のことであるが、いままだ、仏縁をうけないものにも、すくいに背をむけているものにも、等しくありとあらゆる一切衆生に、救わずにはおかぬ阿弥陀さまのひかりが、喚び声がふりそそいでいるのである。
 だからこそ、釈迦如来は、

わが滅度ののちをもつてまた疑惑を生ずることを得ることなかれ。当来の世に経道滅尽せんに、われ慈悲をもつて哀愍して、特にこの経を留めて止住すること百歳せん。

『仏説無量寿経』 巻下 流通分 弥勒付属 より

と、この大無量寿経を説法されたことである。
 阿弥陀如来のご本願には《・・・唯除五逆 誹謗正法》
とあります。
 釈尊が涅槃に入られたのちの世は、正しい法のすたれ、お釈迦さまの説かれたおしえにも背を向ける末法の世がくるかもしれない予感をさえ示唆するこの「経道滅尽」の経言、それは正に、「五逆と誹謗正法」の世界でもあります。この逆謗のものの救済こそ、如来の大慈悲心であり、その〈逆謗を救はずば〉と、「阿闍世王の為に無量億劫涅槃に入らず」と説示された仏陀のおこころがあるとお聞きしています。

*「阿闍世王の為に」: 「為」とは、一切凡夫、「阿闍世」とはあまねく及び一切五逆をつくるものなり。「阿闍世」とはすなはちこれ、一切いまだ阿耨多羅三藐三菩提心を発せざるものなり (『大般涅槃経』より)

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[釈勝榮/門徒推進委員]


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