「是非可愛い少女を」と筒井氏が強調した芳山和子役は 島田淳子という中学3年生(ちょっと山瀬まみ似)が演じましたが、 未来人のケン・ソゴル(深町一夫)役は最後まで決らず、 木下清はリハーサル寸前、本当に急遽決まったのだそうです。 しかしこれが大好評を博し、 続編『続 タイムトラベラー』も同じ配役で製作されたのですが、 こちらは原作なしで、石山透さんのオリジナル脚本。 同年11月からNHKで放送され、こちらも大好評でした。
普通は、原作が素晴らしいと、 ドラマ化された時にがっかりすることが多いのですが、 石山透さんの場合は別。 原作は勿論傑作ですが(私は後から読みました)、 原作より面白い程のドラマに仕上がっていました。
さらに続編になると、大抵はだらけるものですが、 『続 タイムトラベラー』は前作を凌駕しようという試みに満ちていました。 特に、エネルギースクリーン装置の暴走は緊迫感あふれるもので、 これに絡み、先の「ハッサン号」の乗組員たちが登場します。
彼らやロックは、時間のひずみに入り中々脱出できずにいるのですが、 一体いつまであの場所に漂い続けているのでしょう。
そういえば{2001年宇宙の旅}で宇宙に放り出されたフランク・プールは、 宇宙空間を約1000年間漂い、{3001年宇宙の旅}で助け出されることになります。 そうした偶然の出来事が、彼らに訪れることがあるのでしょうか。
どーでもいいですよー≠ニ言われそうですが、 子どもの頃に受けた不思議感は、トラウマのように長く記憶に残ってしまうのです。 おそらく『続 タイムトラベラー』最終回放送の時、私は芳山和子の背は追わず、 謎のインド人たちと一緒に、時間のひずみに残ってしまったのでしょう。 『続・時をかける少女』はこの『続 タイムトラベラー』のノベライズ版です。 機会がありましたら、皆さんもこの本を読み(入手困難かな?)、 私と一緒に、時間のひずみに迷い込んでしまいましょう。
ちなみにこの作品の最終回では、 2001年の人間たちが幼少期に見たテレビ番組の影響で、 砂漠にできたタイムトラベル基地をインベーダ≠竍侵略者≠セと決め付け、 一方的に攻撃してくるのですが、 これはある意味、予想が当たってしまったSF小説≠フ一つ ということになるのではないでしょうか。 勿論詳細は現実とは違いますが、人間心理としては言い当てています。
石山透さんの脚本作品では、他に 『新八犬伝』や『プリンプリン物語』が私の記憶に残っていますが、 もっと多くの作品を残してほしい人だったなぁ。
[Shinsui]