平成アーカイブス 【仏教Q&A】
以前 他サイトでお答えしていた内容をここに再掲載します
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仏教 Q & A
浄土真宗の簡単なお経
返答
どのお経が簡単で、どれが難しいかの判断は人によってちがいますので、一般の門信徒にお勧めしている経本を中心に紹介させていただきます。
◆ 読経用聖典
まずおことわりしておきますのは、このHPは『浄土真宗本願寺派』(西本願寺派)の所属ですので、他宗派の経典につきましては、各宗派にお問い合わせ下さい。
- 『浄土真宗 聖典 ―勤行集―』 本願寺出版社
- 親鸞聖人御生誕八百年・立教開宗七百五十年を記念して編集されました。一般門信徒向きの経典等をほぼ全て網羅。縮小版もあります。また、別に編集した姉妹編『浄土真宗必携』を合わせて読むと、正しいお勤めができます。
- 『意譯 真宗勤行集』『意譯 礼拝聖典』『佛教婦人聖典』 百華苑
- 大きさや色に違いはありますが、掲載してある経典等の内容はほぼ同じです。上段にオリジナル、下段に意訳が載っています。また『解説 礼拝聖典』には内容が詳しく解説されています。
- 『日常勤行聖典』 本願寺出版社
- 蓮如上人五百回遠忌法要の参拝記念として刊行されました。活字も大きく、下段に意訳がついて、上記の百華苑の本に似ています。
- 『新製 勤行聖典』 永田文昌堂
- 浄土真宗の拠り所となる『浄土三部経』(仏説無量寿経・仏説観無量寿経・仏説阿弥陀経)、顕浄土真実教行証文類(教行信証)、正信偈和讃、意訳勤行などが掲載されている折れ本です。僧侶用としても使えますが、一般門信徒向けに編集されているため、『大経』・『観経』の抜粋は短めになっています。
- 『仏事勤行 仏説浄土三部經』 本願寺出版社
- 『浄土三部経』のみが収められています。上記の『新製 勤行聖典』より『大経』・『観経』の抜粋が長く、僧侶向けの編集になっています。
- 『龍谷 勤行要集』 永田文昌堂
- 完全に専門家向けに編集されています。差定集(作法の詳細)も充実していますので、これをマスターすれば、あなたも僧侶になれる?
- 『聲明集』 永田文昌堂
- これも僧侶用ですが、譜の読み方が分かり易く掲載されています。上記の『龍谷 勤行要集』だけでは読むのが難しく、こちらを参考にしている僧侶が多いようです。同様の和綴じ本で『勤行集』もあります。ただ「聲明集」と題された経本は多くありますので、出版社を確かめて下さい。
- 『仏事勤行聖典』 百華苑
- 浄土三部経と顕浄土真実教行証文類の短い抜粋で、こちらは普通の綴じ本です。
- 『浄土真宗本願寺派檀信徒勤行経典』 日本佛教普及会
- 正信偈と仏説阿弥陀経と御文章のみが掲載された長細い折れ本です。テープも併せて発売されています。
- 『寺院兼用 在家勤行集 全』 永田文昌堂
- 橙色の和綴じの勤行集です。寺院兼用となっていますが、一般の御門徒向けにも編集されています。また回向句が省略されていますが、覚えて慣れれば不便は感じません。
- 『真宗 在家勤行集 改譜 西派 平かな付』 大八木興文堂
- 内容や形態としては上記の『寺院兼用 在家勤行集 全』と似ていますが、こちらの方が先に編集されました。「平かな付」とうたってあるところに歴史を感じます。
- 『浄土真宗本願寺派 勤式集』 本願寺出版社
- ※ ご質問いただいた後(平成15年)に出版された経本です。
<浄土真宗本願寺派勤式指導所 編/本山蔵版の「声明集」「往生礼讃偈」などを底本とし、「大師影供作法」「五会念仏作法」「二門偈作法」「奉讃大師作法」「往生礼讃偈(初夜・日没)」など使用頻度の高いものを抜粋。また、「仏事勤行(阿弥陀経)」「正信偈・和讃」なども掲載している。文字はすべて楷書体の活字で表した。唱読法について表記の統一化を図り、おつとめには、音階や長さ、唱え方が一目でわかるよう楽譜(回施譜)を配置した>
と、説明があるとおり僧侶向けの経本ですが、すべての漢字にルビがふってあり、以前の底本に比べると随分読みやすくなっています。
◆ 各経典の内容
上記の読経用聖典におさめられている経典等の内容を簡単に説明しておきます。
- 『正信念仏偈』
- 浄土真宗の立教開宗の根本聖典である『顕浄土真実教行証文類(教行信証・広文類)』(親鸞聖人の著)の精髄百二十句の偈(讃歌)です。本願寺第八代門主である蓮如上人によって、念仏と和讃六種をそえてお勤めするようになりました。浄土真宗の教義と歴史がここにつまっています。
- 『和讃』(三帖和讃)
- 親鸞聖人の撰述された五百首を超える今様形式のお歌の中から、『浄土和讃』『高僧和讃』『正像末和讃』をまとめたもので、『三帖和讃』と呼ばれています。上記の『正信念仏偈』に続いて六首ずつ読みます。
- 『讃仏偈』(嘆仏偈)
- 浄土真宗の根本所依の経典『仏説無量寿経』の上巻にある八十句の偈(讃歌)です。法蔵菩薩が師の世自在王仏を賛嘆する内容で、本山では朝一番にあげられるお経です。一般の集会等でも最初に読まれることが多く、節はつけずに読みます。
- 『重誓偈』(三誓偈)
- これも『仏説無量寿経』の中にある偈です。阿弥陀如来の四十八願の要点を重ねて誓う内容ですが、四十四句と短く、節はつけずに読みます。ご質問の「浄土真宗の簡単なお経を教えて下さい」という意には適ったものでしょう。
- 『十二礼』
- 大乗仏教の大成者であり浄土真宗の第一祖である龍樹菩薩が歌い上げられたもので、阿弥陀如来の徳と浄土の果報をほめ讃える内容になっています。簡単な節をつけて読みます。
- 『仏説阿弥陀経』(小経)
- 仏教の長い歴史の中でも、おそらく一番よく読まれてきた仏説経典でしょう。阿弥陀如来の極楽浄土の比類なき壮麗なさまと、そこに往生するためには念仏(信心)が要めであること、そして十方の諸仏が賛嘆している様子が描かれています。
- 『帰三宝偈』
- 浄土真宗の第五祖である善導大師の『観経疏』のはじめに述べられた五十六句の偈文です。
- 『意訳勤行』
- 現代語でおつとめができるように、昭和二十三年に蓮如上人四百五十回忌の記念行事として訳されたものです。『しんじんのうた一・二』(原典:正信念仏偈)、『さんだんのうた』(原典:讃仏偈)、『ちかいのうた』(原典:重誓偈)、『らいはいのうた』(原典:十二礼)があります。
- 『御文章』
- 本願寺第八代門主の蓮如上人が、門弟の要望に応じ、教えの要を平易な文章に書き記したもので、読経の後に拝読する法語として代表的なものです。
※ さて、「簡単なお経を」ということで以上を紹介しましたが、一般信徒向きでなくても浄土真宗にとって外すことのできない経典等を以下に記します。
- 『仏説無量寿経』(大無量寿経・大経)
- 親鸞聖人がこれこそ「真実の教え」として讃えられた浄土真宗根本所依の経典です。上下二巻に渡り、上巻は阿弥陀如来とその浄土成立のいわれが記され、下巻には阿弥陀如来の願いが成就して衆生往生の定まることを宣言し、往生した聖衆の徳が述べられています。この経の中には『讃仏偈』『重誓偈』『往覲偈』等も含まれ、長い経文ですので一般的に抜粋して読みます。
- 『仏説観無量寿経』(無量寿仏観経・観経)
- 釈尊在世当時、王舎城でおこった事件を契機として説かれた経です。精神統一して浄土と阿弥陀如来を観想する「定善観」と、散心のまま修する「散善三福」を説かれますが、最後に定散二善の法を廃して「他力念仏」の一行を「真実の行」として勧められています。これも長い経文なので抜粋して読むのが一般的です。
- 『往生礼讃偈』(六時礼讃・礼讃)
- 阿弥陀如来の浄土に往生を願う行者が、日常実修すべき六時(日没・初夜・中夜・後夜・晨朝・日中)の礼法を明かしたものです。善導大師の独創的な儀礼論がうかがえ、古来より美しい節をつけて読まれる印象的な勤行ですが、それだけに読みこなすには練習が不可欠です。法悦が余りにも過ぎ「建永の法難」という弾圧を招くきっかけを与えた偈文でもあります。
- 『念仏正信偈』(文類偈)
- 親鸞聖人著『浄土文類聚鈔(略文類・略典)』の精髄百二十句の偈(讃歌)で、『正信念仏偈』と内容は酷似しています。『大師影供作法』という法要作法中にもあり、報恩講で勤まることの多い偈文ですが、掲載されている本があまりありません。ここで紹介した中では『龍谷 勤行要集』『寺院兼用 在家勤行集 全』『真宗 在家勤行集 改譜 西派 平かな付』のみです。
- 『往覲偈』
- 『仏説無量寿経』の下巻にある百二十句の偈(讃歌)です。無量寿仏の威神が極まりなく、十方世界の諸仏の国の菩薩たちにも、無量寿仏を仰ぎ見るように勧めます。これも掲載が少なく、上記の本では『龍谷 勤行要集』のみにあります。
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