平成アーカイブス <旧コラムや本・映画の感想など>
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【本・映画等の紹介、評論】
気まぐれコンセプト クロニクル
A capricious concept chronicle
ホイチョイ・プロダクションズ/小学館
(作・馬場康夫、画・松田充信)
1981年と言えば、いわゆる「ギョーカイ」という言葉が狭義で「広告」「マスコミ」業界を指すようになった頃であろうか、青年漫画雑誌ビッグコミック・スピリッツに『気まぐれコンセプト』が登場、今日まで長期連載が続いている。この間ほぼ毎週、1コマ漫画1本に4コマ漫画3本が発表されている。ゆえにコンテンツは莫大、人気もあるはずなのに、1984年7月に一度単行本化されて以来まとまったものが見られなかった。それが2007年1月ようやく単行本化、1984年以降23年分の内容が再編集され、約千ページの厚みとなって存在感を示している。
クロニクル[chronicle]とは「年代記」「編年史」等の意味だが、バブル景気に湧き、平成大不況に泣き、ようやく復活を遂げつつある日本の経済状況をたった一冊、広告業界の右往左往ぶりに照らしてたどることができる貴重な一冊と言えるだろう。
ただしその内容は基本的に「お馬鹿ネタ」であり「シモネタ」で人権侵害もはなはだしい。特にサランラップを巻いてまで行う細川主事の18番芸には唖然とさせられるが、このマンガの影響でラ・テ局(ラジオ・テレビ担当部署)希望者が激減したとかしないとか。
当時は「ブラック企業」という言葉もなく、広告業界の暗部を描くというほどの問題意識は皆無で、自虐というより優越感や特権意識が見え隠れする。ネタは下品な内容が多いので本を買ったら子どもの手の届かないところに保管することを勧めるが、マンガそのものは高度に練り上げられているのでお買い得感はあると言えよう。
せっかくなので私なりに、各年ごとに一つづつ気に入ったネタを選んでコメントをつけてみようと思う。皆さんもそれぞれ発表しあってみるといい。その人なりの「ギョーカイ史観」や人柄が顕れて面白いと思う。
- ’84年:26頁左
- 「いま一度検討してみてくれ」等の無理難題に対する最適な対応策がこれ。他の様々な状況にも有効である。
- ’85:42頁
- 「私に一分間時間を下さい」と、紅白の舞台で都はるみにアンコールを勧める鈴木健二の台詞が掲載されている。つくづくNHK的な余計なお世話でした。
- ’86年:74頁右
- こんな豪華な空力テストの煙は見たことがない。経費使いたい放題の広告だ。
- ’87年:120頁右
- キャットフードの宣伝までやらせだったのか?
- ’88年:150頁左
- 確かにあの鳩たちは可愛そうだったけど、他の大会では同じことは起こらなかったのだろうか。
- ’89年:172頁上
- 『美味しんぼ』の主題歌に限らず、内容と一致しないアニメ主題歌が多い。京極さんのあの台詞はぜひ欲しかった。
- ’194頁左
- 転勤候補リストのランク。おそらくこれは事実だろう。私の周囲にも同様の悲劇が起こった。
- ’91年:234頁左
- 戦争のウラに広告屋あり。これもおそらく事実だろう。
- ’92年:294頁左
- 投書掲載の裏話。西田さんという人物は果たして実在するのかどうか。おそらく実際には……
- ’93年:344頁左
- ナタデココのもたらした幸福と悲劇。実際に破産した人も多かったと聞く。
- ’94年:356頁左
- 深夜に昔のマイナー映画が立て続けに放送される訳がここにある。
- ’95年:399頁右
- 阪神大震災によって広告費が激減。そしてさらなる打撃が広告会社を襲う。
- ’96年:480頁左
- この頃はペットは屋上で売られていたが、最近はまた一等地に戻ってきた。
- ’97年:509頁右
- 医師会を頂点とするピラミッドの周囲では、このような無理難題が山積しているようだ。
- ’98年:560頁右
- 『アメリカ横断ウルトラクイズ』は1992年に終了したが、あの時までに得た知識はまだ頭の片隅に残っている。
- ’99年:590頁左
- この年は勝れたネタが多いので4つ選んでみた。これは占いの話。私も「どっちだっていい」と思う。
- ’99年:604頁左
- これも占いと同じ「どっちだっていい」と思うが、確かに「それだけかよ!」と日本中が五島勉に詰め寄りたい心境だったろう。もし告訴したら勝てたかも。
- ’99年:624頁左
- 『発掘!あるある大辞典』の影響力の凄さ。それ故後に起こった虚偽・捏造問題は大々的なバッシングを受けた。(参照:{取り繕いの無い懺悔を})
- ’99年:626頁右
- 基本的に閏[うるう]年は4年に一度。ただ西暦2000年は特別が重なってどっちなのか解らなかった人も多かったようだ。もちろん私は……
- ’00年:681頁左
- 「活き造りフィッシュバーガー」って素敵な提案のはずだが。
- ’01年:707頁右
- オーストリアの数学者ゲーテルの「完全性の定理」を覆す定理は身近に存在する。
- ’02年:774頁左
- はっきり言って消費者金融の広告は多すぎ。今後もCMの前に再現フィルムを入れてほしい。
- ’03年:795頁右
- 広告代理店の実体。就職は見た目の華やかさに惑わされず選ぼう。
- ’04年:853頁右
- なるほど、先輩からの理不尽な怒りはこうしてかわすのか。部活練習にも応用が可能だ。
- ’05年:916頁
- 「場面」か。女子高生用語も応用が可能なのだろうか。
- ’06年:955頁左
- ラッキー君に限らず、最近は負けキャラが人気のようです。私も見に行きたくなってしまった。
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