平成アーカイブス


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【コラム】

メロンの秘密

― やはり特別な存在だった? ―

病床の見舞いはメロンにかぎる

 最近はメロンも超高級というイメージはなくなったが、「昔は入院した時くらいしか口にできなかった」と聞く。今でも品種によっては「0がひとつ多いんでないかい?」と目を疑うものもあるから、やはり高級料理では一つの定番になっている・・・らしい。

 ところで、メロンの特徴といえば表面を覆うあの網目。まるで「高級品だから防御してるのだ」と言いたげだが、実際あの自然のネットによってかなり強度も増しているように思われる。その上発泡スチロールのネットを被せてもらえば、故アンディー・フグの踵落としをくらっても大丈夫?

 でも、それだけ防御をしているのだから、同じウリ科の仲間からは「まるで箱入り娘みたいだぜ」って噂されている(なわけない)が、これは大きなイメージ違いで、メロンというのは中々の暴れん坊なのである。
 というのも、あの網目というのは、皮の成長が実の成長に追いつかず、その内部圧力によって割れて、その傷に自然の充てん財を施すような盛り上がりで、いわば、大仁田厚もびっくりの全身傷だらけの姿だったのだ。
「ううむ、さようなご苦労人とは知らず、とんだ御無礼を申し上げました」という訳で、メロンはウリ科の仲間でもやはり一目置いてもいい存在なのだろう。

 ちょっと冗談めかした話になったが、最近、傷つくことを極端に恐れ、友だちとまともにけんかができない子どもが増えていると聞く。また運動会で徒競走の順位を付けない小学校があると聞く。私も経験があるが、確かにビリだった時は悔しい。けんかで負ければ心にも傷を負うだろう。でもそうした小さな傷によって自我が凝り固まらないで済むのだし、大人はより大きな価値観を示して、勝ち負けを超えて共に成長を遂げるように指導するのが本来ではないだろうか。

 そういう意味でも、病床の見舞いにはやはりメロンがふさわしく、「君もこのメロンのように傷を治して、大きく一皮むけた姿を見せてくれ」と言えば「おお心の友よー」と、ジャイアンのように感動されること間違いなし。ついでに値段も言い添えれば出資は報われるのであった。

[Shinsui]

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