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一般寺院における供華 1

雑花式、巻真の立花

浄土の風だより【仏教資料集】

 基本的な立花の一例

 寺院の荘厳の中でも華は仏の寿[いのち]、つまり金剛の菩提心を象徴するだけに手間隙を惜しむわけにはいきません。
 立て方には様々な流派・種類がありますが、今回は報恩講などで比較的多く用いられる雑花式[ざっかしき] 巻真[まきしん]の一例を紹介します。

供華1

[わら]葉蘭[はらん]でくるみ、針金で巻き、藁苞[わらづと]を作る。

供華2

:松の葉を緑の針金や糸で巻く(松は長持ちするので、あらかじめ作っておいても良い)。

供華3

:巻かない松の葉は短く切りそろえておく。

供華4

:松と藁苞[わらづと]を緑の針金などでしばり、周囲に[わら]をつめて支える。

供華5

:松の枝を藁苞[わらづと]に刺す。

供華6

:紅白の三椏[みつまた]を藁苞に刺す(猫柳[ねこやなぎ]梅擬[うめもどき]を使用する場合もある)。

供華7

:左右一対のバランスを見ながら、

供華8

:菊や檜葉[ひば]などを生け、全体として三角形に収まるように配置。

供華9

:生ける際は[わら]を抜きながら、最後は木片などで支える。花瓶が一杯の場合は色花等も藁苞[わらづと]の下辺に刺す(水に浸る)ように生ける。

供華10-1(仏前の荘厳)

10前卓[まえじょく]花瓶[かひん]を供える。
報恩講では写真のように五具足の荘厳が多いが、三具足の場合もある。

供華10-2(仏前の荘厳)

こちらは別年度の報恩講供華

供華11(左脇壇)

11:左脇壇(参拝者から見て右側、祖師前)も五具足または三具足。

供華12(右脇壇)

11:右脇壇(参拝者から見て左側)は親鸞聖人御絵伝を懸け、三具足。(写真は報恩講の掛け軸で、普段は一般的に蓮如上人の画をお懸けする)

 資料


供華[くげ]
 供華は、仏前に花などを供えて荘厳することをいう。
 上卓[うわじょく]須弥壇[しゅみだん]上の[しょく])の華瓶[けびょう]には[しきみ]を立てる。樒がない場合は、その他の青木を立てる(色花は用いない)。また、前卓[まえじょく]花瓶[かひん]には立花[りっか]式の立て方をするが、平常時には松(捌真[さばきしん])・[ひのき]などの青木を真にして、四季に応じ色花をさしまぜて「つかみ[]し」とする。
 立て方には、雑花[ざっか]式と松一式[まついっしき]式の二種がある。葬儀または三回忌までの各種法要および追悼[ついとう]法要などの場合は、できるだけ赤色を除いた雑花式とする。元旦法要。宗祖降誕会[しゅうそごうたんえ]慶讃[きょうさん]法要・結婚式などに際しては、松一式を用いることがある。
 また、立花の真には次の四種類がある。通常は捌真[さばきしん]とし、重要な法要には巻真[まきじん]笠真[かさじん]とするのが通例であるが、松一式の場合は笠真とする。
  1. 捌真――松の葉をそのまま[さば]いて真にしたもの
  2. 巻真――松の葉を針金や糸などで[たば]ねて真に巻き付けたもの
  3. 笠真――松の葉を組み合わせたものを、笠形[かさがた]造作[ぞうさ]した太枝[ふとえだ]にとり付けて真としたもの
  4. 梅真[ばいしん]――梅の枝を真にしたもの。本山の御正忌報恩講で御影堂の供華に用いる。
〔注〕
@供華は、枯れないうちに新しい花と差しかえ、つねに水の入れかえを怠らない。
A供華にはとげや毒のある花、造花などは用いない。

浄土真宗本願寺派『法式規範』48頁 「供華」より


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