【特集・コラム・資料】
仏前結婚式の普及のため、以下に式次第の一例を掲載します。
仏前結婚式の基本的な流れを紹介します。
まず最初に示しましたのは、「指輪交換」「式杯」あり、役配3名が携わる場合の一例です。
次 第 | 司婚者 | 式場係1(音響) | 式場係2(アナウンス) | 新郎新婦 | 仲人・父母 |
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準備、点検 | 1、装束をあらためる 3、「司婚・誓いの言葉」に署名の確認 |
2、記念念珠と「司婚・誓いの言葉」、 3、「表白文」を向卓上に供える 4、内陣に点燭し香炉の炭火を確かめる 5、音響機器の点検 | 1、装束をあらためる 2、式場の席次を点検する 3、焼香卓三面を用意し、炭火に点火する | 1、装束をあらためる 2、念珠と「誓いの言葉」 | 1、装束をあらためる 2、新郎新婦の衣装を点検する |
1、行 事 鐘 | 行事鐘を打つ | 親族来賓を式場に案内する | |||
2、親族来賓着座 | |||||
3、開式の言葉 | 行事鐘が終わったらアナウンス "只今より、○○様・○○様の仏前結婚式を執り行います。 新郎・新婦の入堂でございます" | ||||
4、楽 | スイッチON | ||||
5、新郎新婦着座 | 新郎新婦を式場へ案内する (正面に新郎・新婦到着後)"新郎・新婦はご着席下さい" | 式場係の案内で入場する | 仲人が先導し、新郎新婦、父母の順で入場する | ||
6、司婚者登礼盤 | 入堂し登礼盤を行う | 司婚者にあわせて合掌・礼拝する | 司婚者にあわせてアナウンス "合掌・礼拝" | 司婚者にあわせて合掌・礼拝する | 司婚者にあわせて合掌・礼拝する |
7、止 楽 | スイッチOFF | ||||
8、勤 行 | 至心礼・表白・本願成就文・念仏・回向句を読誦する | 本願成就文・念仏・回向句を読誦する | 本願成就文・念仏・回向句を読誦する | 本願成就文・念仏・回向句を読誦する | 本願成就文・念仏・回向句を読誦する |
9、楽 | スイッチON | ||||
10、司婚者降礼盤 | 降礼盤の後、記念念珠と「司婚・誓いの言葉」をおさめた広蓋を持って、へのせて司婚席へ着く | ||||
11、止 楽 | スイッチOFF | "新郎新婦はご起立ください" | |||
12、司婚・誓いの言葉 | 新郎新婦に向かって「司婚・誓いの言葉」の前文を読み、新郎新婦に誓いの言葉を促し、その後、後文を読み終えて、広蓋へおさめる | 司婚者が席に着いた時アナウンス "誓いの言葉" | 司婚者の指示によって「誓いの言葉」を読み、司婚者が後文を読み終えたら「誓いの言葉」を手元におさめる | ||
13、楽 | スイッチON | ||||
14、記念念珠授与 | 記念念珠を授与する | 楽が始まったらアナウンス "念珠授与" | 所持していた念珠を、仲人にあずけ、記念念珠を拝受する | 仲人は、新郎新婦から念珠をあずかる | |
15、指輪交換 (希望者のみ) | 交換し終わったら「司婚・誓いの言葉」をおさめた広蓋を持って控席に着く | "指輪交換" | 指輪を互いにはめあう | ||
16、新郎新婦焼香 | 焼香盆を正面へ運ぶ | 司婚者が控席に着席した後アナウンス "新郎・新婦焼香" | 新郎・新婦の順で焼香をし、そろって合掌礼拝 | 仲人(女)は、新婦焼香の時、衣装の世話をする | |
17、仲人焼香 | 新郎新婦が復座したときアナウンス "仲人焼香" | 焼香し、そろって合掌礼拝 | |||
18、親族代表焼香 | 仲人が復座したときアナウンス | 両家の親族代表は、そろって左右の焼香卓へ進み出て焼香し、そろって合掌礼拝する | |||
19、止 楽 | スイッチOFF | ||||
20、司婚者祝辞 | 祝辞を述べる | 親族代表焼香が終わってアナウンス "司婚者より御祝いの言葉(法話)をいただきます" | |||
21、讃 歌 | 斉唱 | 斉唱 | 法話が終わったらアナウンス "○○を歌います。皆様斉唱をお願いします" | 斉唱 | 斉唱 |
22、合掌 礼拝 | 合掌礼拝する | 司婚者にあわせて合掌礼拝する | 讃歌が終わってから "合掌・礼拝" | 司婚者にあわせて合掌礼拝する | 司婚者にあわせて合掌礼拝する |
23、司婚者退出 | 外陣中尊から後門へ | "司婚者の退出です" | |||
24、新郎新婦式杯 (希望者のみ) | BGM ON | 式杯の用意ができたらアナウンス "新郎・新婦の式杯です。新郎・新婦はご起立下さい" | アナウンスにあわせて起立する 酌人(できたら少年と少女の雄蝶雌蝶)から注がれた酒を飲む 新婦→新郎→新婦 (木杯三ツ重を使用) | ||
25、参列者式杯 (希望者のみ) | "続きまして、参列者(ご親族)の皆様の式杯を行います。 新郎・新婦は、親族席へお座り下さい" 酒を注ぎおわったら "皆様、それぞれ杯をお持ち下さい" (御祝いコメント)<元気よく>"乾杯" "○○様・○○様、ご結婚おめでとうございます" | 親族席へ戻り、雄蝶雌蝶から酒を注いでもらう アナウンスにあわせて乾杯する | 雄蝶雌蝶から酒を注いでもらう アナウンスにあわせて乾杯する | ||
26、親族紹介 | BGM OFF | "それでは、両家の親族紹介に移せていただきます。 新郎側よりお願いいたします" マイクを両家に | それぞれ紹介 | ||
27、閉式の言葉 | "有り難うございました 以上をもちまして、○○様・○○様の結婚式を終了致します" | ||||
28、合掌礼拝 | 合掌礼拝する | "一同合掌 礼拝" | 合掌礼拝する | 合掌礼拝する | |
29、新郎・新婦退出 | BGM ON | "新郎・新婦の退出でございます" | アナウンスにあわせて退出 |
式の係りになっている人たちのために、あらかじめ「係用式次第」を作成し配布しておくと良いでしょう。
以下は「指輪交換」あり、「式杯」なし。役配5名が携わる場合の一例です。
□□□□・□□□□ 結婚式 | |
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15.楽 16.記念念珠授与 17.指輪交換 18.新郎新婦焼香 19.止楽 20.司婚者祝辞 21.閉式の言葉 22.一同合掌礼拝 23.楽 24.司婚者退堂 25.止楽 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26.親族紹介(以下BGM) 27.新郎新婦退堂 28.参列者退堂(BGM止) |
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これらは一例であって、他にも様々な式次第があります。またオリジナルの式次第を作成しても面白いでしょう。その際も、如来の願いに添い、習俗や日柄などにとらわれず、列席者全員がこころ和やかに二人の門出を祝う式にしたいものです。
◆ 参考資料
仏教徒が結婚式を他宗教で行うのは、はなはだ矛盾しています。ご縁のお寺やホテルで仏前結婚式を挙げるようにして下さい。
また各自が宗教意識をしっかりと持ち、習俗に流されず、仏滅等の日柄など迷信を打破し、自らの信念のもと新しい家庭を築く第一歩としていって下さい。
岡崎諒観著「仏事の心得 その3」には仏前結婚式を挙げる意義について、以下のように諭されています。
一樹の陰に宿り、一河の流れを汲むさえ 浅からぬえにしがあればといわれております。
この世に生を受け、数多い人びとの中で、 妻とよび夫とよぶ間柄となることは、 格別に深い因縁があればこそであります。
まして、人生の門出を飾る結婚式を、仏祖の前で誓うことは、 まことに意義が深いといわなければなりません。 ことに仏教徒は、家庭においても、 お内仏を中心とした生活を送るわけですから、 何事でも仏祖のご照覧を仰ぐねきでありましょう。
この意味からも、仏前結婚式は、 まことに意義あることとお勧めいたします。
この式典は、手次のお寺の本堂か、あるいは自宅の内仏の前、 または公民館、公会堂などで行なわれます。 ご住職とよく話合って、ぜひ仏式によって行なわれるべきでありまして、 便利や都合などの理由で、自分の宗教以外の式によるなどは、 思いもよらぬことであります。
また式中、「表白文」(8、勤行 のところ)を司婚者が読み上げるのですが、 その内容からも結婚式の意義というものが見出せます。
敬って
阿弥陀如来の尊前に
申し上げます
深く思いを致しますと
如来は私どもを救うために
尊いご本願を起したまい
その真実をみ名にあらわして
つねに照らし護り給うてあります
私どもは幸いにして
宗祖親鸞聖人のお導きにより
浄土真宗のおみのりを聞き
念仏に生かされる身とならせていただきました
喜びこれに過ぎるものはなく
いよいよ報謝のまことを
尽くさなければなりません
本日仏祖の御前において
新郎○○○○氏
新婦○○○○さん
の結婚の式をあげ
両人は希望に満ちて
新しい人生の門出をすることとなりました
思いますのに
生をこの世に受けて
数多い人の中から
長く夫婦のちぎりを結ぶことは
宿世の因縁
まことに浅からざるものがあります
それにつけても
人生の行路は
決して平安な道ばかりでなく
山あり谷あり
苦難の多い旅路でありますが
常に今日の感激を忘れることなく
如来の大悲を仰ぎ
聖人のみ跡を慕い
終生仲むつまじく助け合って
念仏に恵まれたうるわしい家庭をつくり
世のため人のためにと
報恩感謝の生活をおくるよう切望します
ここに
仏祖のめぐみを仰いで
司婚者○○○○
謹んで申し上げます。同・「仏事の心得」より